第2章1 AACR2010に向けて-1
2025/2/19更新
第1回アルプスあづみのセンチュリーライドが終了した。
課題はいろいろあるにせよ、記念すべき第一歩を踏み出すことができた。
では次回は?見直すことは山のようにあるが、委員各氏から意見が出され、次回の計画が次第に輪郭を表していった。
1 国土交通省国営アルプスあづみの公園所長 湯澤 将憲
◇ 実施体制
・主催を実行委員会とするか。(構成:TOYBOX、あづみの公園、サイクリスト、関係市町村観光協会など。事務局:TOYBOX):会長は?
・特別協力:バイクランチ
・協力:長野県体育センター、住宅看護職の会、信州大学自転車部など
・後援:長野県、松本市~白馬村など
・協賛:小林製菓、あづみ野、信州健康ランド、水宗園本舗ほか(大型スポンサーが付いた場合は特別協賛)
・マスコミ社を入れる場合は共催?
◇長野県唯一の平地系長距離ファンライド
・誰でも参加できる長距離イベントということを強くアピール。
・長野県では稀な平地系ライド。
◇環境への取り組み
・カーボンオフセット(イベントで排出されるCO2を、植樹等で吸収するしくみ)
・発着点に記念植樹というのができればよいが、緑化団体・森林管理団体等への寄付というしくみもありか。
・前日に参加者が環境活動をする、という自転車イベントもあり。
◇TV局とのタイアップ
・地元地方公共団体発のイベントではないことから、地域への浸透を図る手法としてテレビ媒体を活用することも一案。
・生中継は無理にしても、地方番組での体験コーナーなどでの紹介。
→長野県内での唯一性、新規性、独自性などをTV局に対してアピール
◇大型スポンサー
・運営安定化のための協賛金の獲得
・県内企業を中心とするか、大手企業にアタックするか
◇ゲスト
・TV等を考えると、ゲストが必要なことも。ただし、あまり自転車に対して素人過ぎると参加者に敬遠される可能性も。
◇付録
・オリジナルの脇道エイドステーションガイド
・経路沿いの公式A.S.以外の休憩ポイント(軽飲食、トイレ、ビューポイントなど)を記載したマップを独自に作成(手書きのコピーで十分)
・紹介した店舗等からの協賛(割引券など)が可能かも。
2 ㈱アドソニック松本支社長 窪田 浩明
1)スケジュール、段取りなどの時間調整に関する事項
■エントリー
開催決定、概要決定の遅くれは否めない。実施決定は1年前、同時に概要を決定し年明けのサイクリング専門誌の年間スケジュールに掲載されることが望ましい。
広報にも関連するが、WEBサイトの充実を図りエンリーシステムの導入を目指すべきでる。
■広報
上記専門誌へのリリース、県内メディアへの積極的なリリースが必要である。
全国的な周知・参加者獲得を目指す場合は専門誌への広告掲載も必要と思われる。広報ツール・アイテムが乏しい。
■申請・各団体への依頼
コース延長、さらに複数の自治体を跨ぐ場合、行政・警察・消防・案協などに対し早めの説明・協力依頼が必要である。
参加者が増加の場合、運営ボランティアの存在が不可欠。早めに依頼団体を決定していく必要がある。
運営以外でもエイドステーションや折り返し地点などにおける歓迎事業の依頼なども。
2)イベント会場、コース等の設計・設置の調整に関する事項
■開催時期
連休中は交通量が増えるので、参加者から敬遠されるばかりか事故発生確率も高まるため時期の見直しが必要。地元開催の他の大会との同時期を避けると5月中下旬はどうか?
■参加料
逆算方式で事業運営上最低5,000円? 事業内容・サービス内容の充実が必要(現状では高い印象が強いのではないか?)
■コース設定
より魅力的なイベントにするためには周回コースが望ましい。
周回コースであれば、最後尾者通過ポイントからスタッフ配置解除・エイドステーション撤去・看板類撤去などを行うことが可能になり、運営面においても効率的になるのではないか。
波田町(国道158号線横断)周辺を避けたコース設定はできないか?
■エイドステーション
参加人数が増加していく場合、エイドステーションの見直しを検討すべきである。
補給食の種類・量が少ない。スポーツドリンクのサービスも必要では。
安曇野公園は、駐輪場が少なく、自転車走行・持ちこみ不可。レーサーシューズを履いている参加者にとって入りやすい環境ではない。そもそも参加者は当日の公園入園を目的としていない。一般来場者も多く、駐車場への走行車両も多い。エイドステーションには不向きと思われる。
■スタート会場
当初構想通り参加人員1,000名~2,000名となる場合、駐車場を含むスタート会場(ゴール会場)の見直しが必要。開会式~アルウイン正面駐車場スタートはスペース的に困難。駐車場の収容力と導線計画・誘導運営についても困難では?
■コース整備
誘導標識の数量が少なく、サイズも小さい、デザインも視認が困難。誘導員を最小限にとどめて実施していくためには看板類の充実が不可欠である。
3)イベントの運用に関する事項
■前日
参加者1,000人規模以上を目指す場合、当日受付は不可能。前日受付を前提とした事業運営計画の立案が必要。
■当日イベント
豚汁とおにぎりのサービスは好評。継続を検討。
ゴール後のフォトサービス(完走証)も好評。可能であれば継続したい。
その他、他の大会にない魅力的な付加価値を創造していきたい。
■交通駐車場
信州スカイパーク=陸上競技場と認識している参加者が多かったようである。今後は事前広報とともに、駐車場誘導のステ看も検討の必要がある。
■スタート
5人~10によるスタートで問題ない。また参加者もそれを望んでいるようである(ロングライドでは一般的?)
■ゴール
フォトサービスを継続する場合、ゴール・写真・豚汁の導線設定、誘導の運営方式を再検討。また同内容で事業継続する場合は誘導・写真・豚汁ともにスタッフの大幅な増員が必要。
■その他
開催初年度ということもあり構想・運営計画ともに遅れ気味であった。
年内に事業構想・運営計画・収支計画を立案し、それに向けた準備を行いたい。前日、当日ともに運営スタッフ数が不足。早期の運営計画立案と、それに基づく人員確保及び必要備品の調達を。
走行時、参加者とスタッフの判別が困難。運営面における安全管理を考えると参加者にはビブスなどを着用させたいが・・・。 参加費を徴収しイベント実施する受益者負担事業である以上、参加者の満足度を高揚させていかないと継続が困難。同種の事業が横行する昨今、他のイベントとの差別化、固有の魅力作りを模索していかなくてはならない。
第2章2 AACR2010に向けて-2
2025/2/19更新
第2回アルプスあづみのセンチュリーライドに向けてさまざまな意見を集約し、計画概要がまとまっていった。
最大の見直し点は次の3つ
- 開催時期を9月から5月へ変更
- スタートをアルウィンから梓水苑へ変更
- 折り返しを国営アルプスあづみの公園大町松川地区から白馬へ変更
1の開催時期については、プロデューサー鈴木雷太より「この地域が一番美しいのは残雪の北アルプス、安曇野の田園風景、新緑の里山、3つがそろった5月にぜひ開催したい」と強い希望が示されすぐに決まった。ただ、第1回から実質半年しかなく、次回計画と調整を大至急進める必要があった。
2と3については難問だった。
元々は「あづみの公園と松本平広域公園の連携事業」として始まったイベントなだけに、2回目にしてその枠組みを大きく飛び出すことになった。
双方の公園管理に携わる者としては「仕事の枠組みを逸脱する」もので、普通はまずできないと思う。
しかし、アルウィンから国営アルプスあづみの公園へ向かうには、どうしても国道158号線、アルピコ交通上高地線と梓川を渡らなければならない。果たしてそのルートは自転車走行にとって安全なのか、楽しいものなのか、と考えると答えはNO。
適切な場所はどこか?を探していくと、梓水苑(しすいえん)が候補に挙がってきた。ここならR158、上高地線、梓川の北に位置するためスタート地点には悪くない。関係各方面に調整し、最終的には、実行委員長で松本平広域公園指定管理者TOYBOX経営責任者市川荘一の判断でGOとなった。また、折り返し点については白馬村の関係者の協力を得られることとなり、国土交通省国営アルプス公園事務所長湯澤将憲の承認を得て、ルートが決まった。 アルプスあづみのセンチュリーライド2010の計画概要は次の通り
●大会要項
・大会名称 アルプスあづみのセンチュリーライド2010
・主催 アルプスあづみのセンチュリーライド2010実行委員会
・構成団体:国土交通省国営アルプスあづみの公園事務所、TOYBOX、財団法人公園緑地管理財団アルプスあづみの公園管理センター、社団法人梓川ふるさと振興公社、白馬村観光局
・プロデュース 鈴木 雷太(バイクランチ)
・後援 松本市、安曇野市、大町市、波田町、山形村、松川村、白馬村、松本市ノーマイカーデー推進市民会議
・協力 ㈱アドソニック、プロスパー、長野県体育センター
・協賛 今後募集
・開催日程 2010年5月29日(土)受付 5月30日(日)大会
・主会場 松本市梓川 梓水苑(しすいえん)
・参加費 高校生以上5,000円 小中学生3,000円
・募集定員 500名
・参加申し込み ランネットまたは郵便
●ルート区分
①140kmクラス 梓水苑 ⇔ 白馬ジャンプ競技場で折返し
②70kmクラス 梓水苑 ⇔ 国営アルプスあづみの公園【大町・松川地区】で折返し
③30kmクラス 梓水苑 ⇔ 国営アルプスあづみの公園【堀金・穂高地区】で折返し
第2章3 AACR2010に向けて-3
2025/2/25更新
第2回となるアルプスあづみのセンチュリーライドは、開催時期を5月に変更し、ルートも白馬まで延伸、現在の開催形式の原型となった。
以後は、ルートやクラスの見直しを重ねながらも、松本市の梓水苑スタート/フィニッシュ~白馬折り返しで継続している。
参加者は第1回の136人から4倍増の604人。県外からの参加比率も18%から57%へ大幅増。予想以上の反響に正直戸惑うほどだった。
天候も良く、Funrideさんの取材と写真も素晴らしく、まさに今後につながる大会となった。この時に取材してくださったKさんの「美しい日本のロングライド」というタイトルが本当に素晴らしくて、感激した。
実行委員会が作成した報告書と、Funrideさんの記事を紹介する。
AACR2010のルートはこちら
第2章4 AACR2010に向けて-4
2025/2/25更新
第2回となるアルプスあづみのセンチュリーライドが無事終了した。
当初の目的である公園同士の連携という枠組みを大きく超え、地域の活性化に寄与する自転車イベントとなってきた。
関東地方整備局国営アルプスあづみの公園事務所 調査・品質確保課の下出大介は、アルプスあづみのセンチュリーライドへの取り組みを「サイクリングによる地域活性化への取り組み ~国営公園が地域に対してできること~」と題する論文にまとめ、平成22年度国土交通省国土技術研究会で発表したところ、優秀賞を受賞した。
https://www.mlit.go.jp/chosahokoku/h22giken/jusyo.html
ポイントをいくつか紹介する。
- 地域づくりのキーワードは「環境・健康・観光・広域連携・活性化」の「5K」と認識しているが、自転車はそれらに合致するものである。
- 第1回に比べて第2回は県外からの参加者が大幅に増加し、宿泊等を通じ、地域の活性化に貢献したものと考えられる。
- 第2回の経済波及効果は、約3,600万円となった。
全文は、以下のリンクから読むことができる。
https://www.mlit.go.jp/chosahokoku/h22giken/program/kadai/pdf/ippan/ippan2-01.pdf